【IoT事例】Elschukom:時代遅れの製造管理をIndustry4.0にて刷新|エルシュコム

【IoT事例】Elschukom:時代遅れの製造管理をIndustry4.0にて刷新|エルシュコム – 記事

Elschukom(エルンシュコム)について

Elschukomはヒューズワイヤの世界的リーダーで、幅広い分野に提供する最高品質のプロテクトモジュールと超微細ワイヤを製造する中堅企業です。

同社は東ドイツにあった「Kombinat Keramische Werke Hermsdorf(コンビナート ケラミッシェ ヴェルケ ヘルムスドルフ)」から独立し、ドイツ統一直後の1990年に設立されました。本社はチューリンゲンのヴェイルスドルフにあり、現在、約100名の従業員を雇用しています。

独立後、Elschukomは機器のヒューズワイヤの製造に専念しました。ワイヤに専念した理由としては、経営陣が世界にはこのようなヒューズワイヤメーカーが存在しないことを知り、ヒューズワイヤと超微細ワイヤの製造に特化することにしたことです。

現在も当時と変わらず、デバイスヒューズのためのヒューズワイヤの製造を続けています。しかし今では徐々にですが、楽器の弦や繊維産業(キーワード:スマートテキスタイル)のような他業種の特殊ワイヤや電熱線、トロリ線、切断ワイヤなどの製造も手掛けています。

Industry4.0の導入背景

同社の顧客は、ヨーロッパだけでなくアジア、アメリカにまで及んでいます。それらの顧客は同社に何度も繰り返し、各社個別で革新的なソリューションを要求してきます。

代用取締役所長のUte Poerschke(ウテ ペルシュケ)氏は、

「10年前から、ワイヤ製造において製造管理を容易にするというビジョンを持っていました。」

と述べています。

このプロジェクトでは、全従業員を必要な知識レベルまで引き上げ、数十年前より培ってきたプロセスを変更することが必要でした。ソリューションを導入すべき製造環境は、1911年から2017年の間に設置された様々な機械で構築されていました。プロセスをシステム接続のためにすべて同一の技術レベルに統一し、同社が考えるコンセプトへと徐々にまとめる上げる必要がありました。

さらにこれを実現するための方法は非常に合理的なソリューションでしたが、部分的に機能や設計に関して”大規模”に介入する必要がありました。

同社の今までの業務は、既存の規格や標準化を提供しているIndustry4.0のソリューションに準拠していませんでした。しかし、Industry4.0のソリューションは、より安定した優れた製品品質、より優れたトレーサビリティ、および仕様おいて非常に厳しい公差を求められる超微細ワイヤの顧客要件を満たすことが可能であり、経済的必要性の観点から、同社にとってメリットとなり得ました。

これが同社がIndustry4.0を導入した背景です。

新システムの実現化

1. システムの構築手順
IPC Klaus Mauderer(アイピーシー クラウス マウダーラー)社と共同で、システムは数年間にわたり細分化したステップで定義され、網羅的にテストされ、その後段階的に実装されました。その結果社内ユーザーの経験と要望、顧客要件をいつでも組み込むことが可能でした。

必要なセンサーや計測機器、周辺ハードウェアは、両社の費用対効果の観点から共同で選択し、システム全体に統合されました。製造機械、特に制御装置は、社内のエンジニアリング部門によって最新式にアップデートされ、ソフトウェアとサーバーとの直接通信を可能にするために必要なものすべてが搭載されました。

IPC Klaus Mauderer(アイピーシー クラウス マウダーラー)社
ドイツ、ヒルポルトシュタインのソフトウェア企業。主に鉄・ワイヤ製造業向け計測アプリケーションを開発している。
公式サイトはこちらより

2. システムの具体的な実装
今回の実装では、直径範囲が10-500μmで多種少量生産の超微細ワイヤのみを対象としました。このワイヤの識別については、ワイヤそれ自体を識別することができないため、使用されるコイルを識別することで解決しましした。QRコードを使用してマシンやツール、製品はバリューチェーン全体で識別され、中央データベースに登録されます。

さらに、各コイルに割り当てられたすべての生産パラメータと品質データも同時に登録されます。ソフトウェアおよび関連するデータベースは、内部サーバーシステム上のSQLをベースとしたソリューションを使用しています。

データには生産計画・プロセスのデータや棚卸データ、製品ごとの製造コスト、顧客サイドの品質の関連するドキュメントも含まれています。

新システム導入の効果

1. 直接的効果
開発したシステムは、ワイヤ製造における在庫管理、生産管理、品質管理のすべてを管理しています。

利用可能なデータを使用しボタンを押せばいつでも、会計上認められた評価在庫の計算が可能です。誤差は明らかに1000分の1以下の範囲にとどまっています。これはまた各供給コストの透明性を提供し、顧客企業との取引の収益性を容易に判断することができます。品質面では、完全なトレーサビリティを提供し、最適化と継続的な改善の可能性をすばやく究明することが可能です。これらのことは、ワイヤの寿命期間中はいつでも実行可能です。

さらに、新たなメリットとして生産量のボトルネックを簡単に特定し、結果として投資判断の支援が可能となりました。
Poerschke氏は、

「すべての従業員のコミットメントのおかげで、機能面において、私たちが期待していた以上に、はるかに改善され、はるかに向上しました」

と述べています。

2. 間接的効果
小さく管理しやすいステップで実装するという方法は、達成された結果を定期的に精査し、必要とあればさらに次のステップについてカスタマイズする、あるいは新しく定義づけすることを可能としました。それにより、フラストレーションは発生せず、スコープの肥大化が避けられ、プロセス改善のメリットを、いつでもすぐに受容可能となりました。

また今回のような、比較的小さな会社で、初めて非常に大きなビジョンが展開されるということは、すべてのステークホルダー(従業員、プロジェクト管理者、管理職)に対して、プロジェクト実施期間中常に、有益な影響を与えていました。

その後の課題と解決

このプロジェクトが成功した最も重要な要素は、従業員が新しいプロセスを受け入れて適用する意欲でした。日常業務が円滑となることにより、全体的なソリューションの最適化とさらなるシステム開発において、従業員のコミットメントは強化されていきました。しかしながら次のステップに進むには、さらに継続的な訓練と社内教育が必要でした。特に、生産技術者という訓練職種において教育されるスキルは、この新プロセス運用にとって、大きな手助けとなっています。

同社では、生産技術者とはソフトウェアや製造、研究、開発をリンクする人材を指しています。彼らはプロセス設計や製造工程、生産、ビジネスマネジメントについて教育を受け、これらのスキルを組み合わせて、プロセスの分析やシミュレーション、最適化を実施します。さらに、製造現場の従業員からのシステムに関する質問や疑問に答える役割を担い、彼らを支援します。そして現場の専門的な経験をシステムに落とし込み、実用的な知識を利用して、プロセスの最適化を実施します。

同社では生産技術者は、業務範疇にはまだ議論の余地のある職種と捉えおり、特殊な人材として扱っています。

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