【導入事例】SAP SE:Industry 4.0で社内教育システムをクラウド化。社員スキル向上を促進し、IT最新技術へ柔軟に対応。| エスエイピー

【導入事例SAP SE:Industry 4.0で社内教育システムをクラウド化。社員スキル向上を促進し、IT最新技術へ柔軟に対応。 | エスエイピー

SAP SEについて

SAP(エスエイピー)は、企業向けソフトウェア、および、それに関連するサービスを提供する、世界最大規模のソフトウェアメーカーです。ドイツに本社を置き、現在、資本総額では、ソフトウェアメーカー世界第3位に位置付けています。

SAPは1972年に企業家精神を持った5人のプログラマーにより設立され、この46年間、ビジネスプロセスのイノベーションと改善に取り組み続けています。

日本では、SAP SEの日本法人として、SAPジャパンが1992年に設立されました。2003年には、中堅企業向けERP(基幹業務システム)パッケージ「mySAP All-in-One」が発表されました。現在では、次世代クラウドERPスイート「SAP S/4HANA Cloud」、中堅・中小企業の統合ソリューション向けERP「SAP Business One」などの製品を提供し、あらゆる業界のすべてのビジネスプロセスに対応できる包括的なソリューションを提案しています。

Industry4.0導入の背景

デジタル変革(digital transformation)は、SAPのような世界的ソフトウェアメーカーにも、重大な課題をもたらしました。特に、「クラウド」というコンセプトの著しい普及により、企業向けソフトウェア市場にはダイナミックな変化が生じ、また、ビジネスモデル、会社組織、労働者に対する新たな需要が生み出されました。そのため、SAPも、ビッグデータやIoTの分野などのクラウドベースの新製品の開発、既存のソフトウェアソリューションのクラウドへの移行に着手することになりました。

その結果、SAPで働く人々に求められるスキル要件の変化が始まりました。同社は、新技術について専門知識のある人材の中途採用や、いわゆる「デジタル・ネイティブ世代」から新しい人材を採用するようになりましした。一方では、既存の社員についても、体系的な社員教育を通じて、全社員が必要なスキルを取得可能な環境を構築する方針を掲げました。

SAPでは、社員教育が、基本的に日常業務に組み込まれています。そこで、デジタルアプリケーションを導入することを決定しました。デジタルアプリケーションを使用すると、そのような再編の難しい社員教育を簡単に構築し、マッピングすることができるからです。

さらに、デジタルアプリケーションでは、見える化できる形で学習進捗状況を示すことができ、学習者のモチベーションは上がり、マネージャーは自身のチームのスキル状況について把握することが可能となります。

SAP SEのグローバルトレーニングマネージャーであるMarkus Bellは長年の経験から

「一般的に、モチベーションは、社員教育や学習のための中核的要素である」

と述べています。また、

「ここでは、社員が学習を楽しみ、それを負担として感じないような、組織的な基本環境を構築しなければならない。 したがって、2つの面から見て、学習サービスの柔軟性が、成功を導く要因となる。ひとつは、モバイルデバイスを含め、学習サービスへ柔軟にアクセスできることが重要だ。もうひとつは、個人のニーズや個人の学習行動へ柔軟に対応できることである。」

と述べています。

ソリューションの導入と自社へのカスタマイズ

SAPは、上述の方針を実現するために、「サクセス・マップ・ラーニング」を、社員教育の計画、実施、管理、評価のための統合ソリューションとして導入しました。

SAPは、このソリューションに基づき、自社の学習プラットフォームをクラウドベースで開発し、下記のように、3つのステップに分け構築しました。また、このプラットフォームは、現在のSAP製品ポートフォリオのひとつとなっています。

  1. 必要なスキル要件の決定

    主な競合他社およびパートナーのニーズ、ソフトウェア開発分野における求人の要件などを調査し、さらに、社内の先進技術研究開発部門のリーダーに対して、今後必要となるスキル要件の調査が行われました。

  1. 社員教育の計画と実施

    社員ごとに合わせた学習ロードマップ作成機能

    クラウドベースの学習プラットフォームでは、一般的なリーダーシップなどのスキルだけでなく、データサイエンスなどの専門テーマを含めた、社員個別の学習ロードマップの作成を可能としました。

    多彩な学習サービス提供機能

    コースを構成する学習サービスを、サービスのモジュール化要領に従い、幹部社員による年次開発会議にて、35,000を超えるサービスとしてまとめあげました。

    モバイルデバイスを使用した学習スタイルの提供と学習グループ形成機能

    社員全員が、モバイルデバイスを介して学習プラットフォームへアクセス可能とし、自身の学習履歴の把握、他の社員と合同で学習グループを形成することを可能としました。

    マネージャーによる推奨学習モジュールの提案と進捗状況の管理機能

    マネージャーは、学習プラットフォームを使用して、自身のチームに所属する社員に、学習推奨モジュールの提案、チームの学習進捗状況の管理を可能としました。

  1. 教育実施の評価

    学習を修了した社員は、プラットフォーム上で、各コースとトレーナーを評価することができるようにしました。

    さらに、教育サービスの継続拡充に使用する重要な指標を作成するため、年次社員アンケートで教育サービスを評価することとしました。

導入の効果

「サクセス・マップ・ラーニング」プラットフォーム上での個人学習において、その操作のしやすさ、学習サービスの継続的な拡充、学習サービス選定計画・評価に対する確かな機能により、2015年から2016年まで(1四半期から3四半期の間)に、学習サービスの利用者数が約61,000人から80,000人以上に増加しました。

さらに、年1回の社員アンケートで、この学習サービスを評価した社員の74%は、このサービスを技術強化、スキルアップに利用できたと答え、75%は、キャリアを上昇させるための学習とスキルアップに今後も活用できると答えました。

また、幹部社員の60%以上が特定の幹部研修に参加しました。それにより、社員の幹部社員対する信頼性指数のみならず、コミットメント指数も向上しました。

その後の展開と対応


当初、パイロットフェーズは営業部門スタッフで実施されました。その後、引き続き、「サクセス・マップ・ラーニング」は、社内全体に段階的に展開されていきました。しかし、このためには、新しいデータセキュリティの概念を含む新しいインフラを構築する必要があり、同時に、古い学習管理システムと比較して、学習環境の使用と保守の簡素化を目指しました。 また、SAPの既存の学習コンテンツ、外部の教育プロバイダーからの新しい学習コンテンツ、さらに、学習者の学習履歴を、新システムに移行しなければなりませんでした。

そのため、次の4点が実施されました。

  1. システムの操作とメンテナンスに関して、システム管理者の訓練
  2. 特定のユーザーグループのユーザー設定とデフォルト設定に関する決定
  3. プロセス全体についての労使協議会との交渉、および、合意
  4. 学習プラットフォームに関する包括的なプロセスを文書化

さらに、全社への導入を確実に成功させるために、プラットフォームリリースの各フェーズとユーザーのトレーニングプログラムのための緻密なコミュニケーション戦略、および、システム導入後6ヵ月のユーザビリティ調査を含む専門的な変更管理措置が伴いました。

参照URL

https://www.plattform-i40.de/I40/Redaktion/DE/Anwendungsbeispiele/403-SAP-success-map-learning/beitrag-sap.html

https://www.plattform-i40.de/I40/Redaktion/DE/Standardartikel/arbeitsgruppe-05.html

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