【IoT用語集】RBM(Risk Based Maintenance)とは?

IoT用語集】RBM(Risk Based Maintenance)とは? – 記事

RBM=Risk Based Maintenanceとは、リスクを数値化し、優先順位の高いリスクをコントロールするために、保全活動の順位付けないしスケジューリングを行い、リスクの発生確率・頻度に合わせて、コスト的にも最適化した保全活動を行うことをいいます。

保全の手法と分類

保全の手法を分類すると、RBMのほかに下記のような保全手法があります。

CBMは、TBMで生じがちな、保全がいらないときに保全することにより発生する不稼働によるコストや、故障・破損・劣化していない部品・材料を交換・修理することにより生じるコストを避けることが目的です。すなわち、状態を監視してデータを収集し、故障・破損・劣化を診断ないし予測、その状態に応じて保全活動を行えば、不稼働によるコストや、部品の不要な交換は避けられるといえます。
CBMは、状態の監視・診断に関する技術の発展により、TBMに代わって保全の主流となってきました。TBMは例えば定期メンテナンス・定期点検・定期交換、といった形式で行われますが、これらはもしも部品・材料の状況が正確に診断できれば理論上TBMにとって代わることができます。IoT技術により、機械・設備の監視が近年大幅に容易になってきているとともに、ビッグデータで今後の破損状況について、予測も立てやすくなってきています。

CBMの弱点を克服するRBM

しかしながら、CBMにも診断ミス・データ不足など、偶発的な人為ミスが起こりえます。診断・データ収集技術・あるいは客観的に必要なデータの取得が十分でなければ、誤差を生じさせてしまうリスクがあります。また、安全性に関する重大性や不稼働による利便性の低下により生じるコストが非常に大きい分野では、定期メンテナンスに代わる手段としてCBMが妥当しにくいという特徴もあります。
ここで、TBMか、CBMか、という二者択一ばかりに頼らず、多くの人が納得しやすい保全を行うにはどうすればよいでしょうか。有効な手法は、リスクインパクトにより、保全方法を変えるアプローチ=RBMです。

RBMによるリスクコントロール

RBMは、リスクアセスメントに基づいて、保全の優先対処順位をつけることにより行います。(事故の発生確率x事故によるコスト)として、リスクをマトリクスにし、数値化した場合、値が大きいものについては、優先的に保全をすべきでしょう。しかし、この値が非常に小さい場合は、例えば部品交換の場合、事後的に補充することで十分との結論となるかもしれません。
このように、リスクを数値化・優先順位付けし、保全の手法を適切に組み合わせる手法がRBMです。
RBMには、主にTBMとの組み合わせによる場合と、CBMとの組み合わせによる場合とがあります。しかし一般的にRBMというときには、コントロールすべきリスクが多数で、多要素から構成されています。保全カレンダーにスケジュールを乗せつつ、重要部品等については監視診断を行うといった具合で、TBM・CBMのいずれかを固定的に基本におくことはしないことのほうが多いようです。

リスクアセスメント・リスクマトリクスの考え方

これらの考え方は、製造業におけるPDCAサイクルや、内部統制システム上のERM(Enterprise Risk Management)を範にとった考え方です。保全における意思決定は、非常に難しいことも多く、コストをかけなければ安全性を軽視しているとされ、万が一の事故の場合、アメリカのように訴訟が盛んな国では、経営陣は株主代表訴訟において責任追及をされてしまいます。
しかし、機械にしても、設備にしても故障・事故・劣化というのはつきもので、そのたびに訴訟の陰に脅かされてばかりいては、生産活動はままなりません。
少し米国でもSOX法による経営者へのいわば「締め付け」が落ち着いてきたところで、「合理的な判断をした経営者に対する法的責任追及は弊害が大きい」との考え方から、判断基準の合理化ということが意識されるようになっています。

リスク評価とリスクの順位付け

リスクアセスメント・リスクマトリクスは、一定の合理性のある判断基準を示すための考え方・手法です。そこで、保全の世界でも同様の手法でリスクに優先順位付けをし、対応することが合理的であるとされたものです。
こうして計画的に保全を行うことにより、技術的に故障・劣化や不稼働によるコストが万が一発生しても、それは「最小限のコストであった」との合意形成が行いやすくなります。

RBMの実例

RBMの公表例がみられるのは、例えば火力発電所・石油プラントの例、あるいは港湾構造物など、比較的に大きな設備に採用されているアプローチであるようです。またこれらのRBMの対象は、常時稼働を原則とし、ひとたび故障したら、影響が甚大であることから、より計画的に慎重に定期メンテナンスを行っている分野です。こうした状況にまつわるコストの高さを保全の在り方で補うために、RBMは適しているものと考えられます。

まとめ

近年IoT技術の浸透により、機械・設備等の監視が容易になったことから、TBMとCBMの組み合わせで行われるRBMにも関心が集まっています。とくに大型機械・施設の場合、CBMによる監視の効果がかなり明確に出やすいとされています。
RBMの導入により、その考え方から、保全に関する意思決定がどれくらい円滑に進められるか、今後も注目したいものです。

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