【IoT用語集】TBM(Time Based Maintenance)とは?

IoT用語集】TBMTime Based Maintenance)とは? – 記事

TBMTime Based Maintenance)」とは、機械や設備につき、定期的に保全を実施する考え方を言います。車両の法定定期点検、サーバの定期メンテナンスなどはこの手法の保全の代表例です。類義語として「予防保全」が挙げられます。予防保全の考え方は、故障の発生前にメンテナンス・部品交換など保全を実施することです。
TBMでは一定の間隔でメンテナンスし、対象の部品を交換します。これにより、突発的な故障・稼働停止を防止して、その悪影響を回避するものです。故障後にメンテナンスを行う事後保全(Reactive Maintenance またはBreakdown Maintenance)では、重大な結果が生じてしまうので、事前に保全をします。

車両や一部の機械・設備には法定定期点検があります。直接人の命にかかわり、とくに安全性を担保することが重要な機械・設備については、壊れる前にメンテナンスをすることが至上命題です。できる限りの予防を行うアプローチで、徹底的に事故や思わぬ操業停止の悪影響を防ぐことは社会的にも重要な意味があります。そこで、TBMを主な保全手法として取ることとなります。

TBMの課題

TBMの課題としてあげられるデメリットは次の通りです。

1.コスト
TBMはまだ故障していない機器や設備、それらの部品に対しても点検・補修を行います。まだ使えるものを廃棄することが量的に多くなってしまうため、メンテナンスのコストがかさむ傾向があります。また、定めた時期に定めた箇所を全て点検するため、設備を定期的に一時停止しなければならず、利用者の利便性を大きく損なう・常時稼働や利用を要求される機械については最小限にとどめなければならなくなる、という問題があります。

2.「いじり壊し」問題
保全のための点検・部品交換は状態にかかわらず行われるものです。ところで、保全により、保全前の状態よりも機械・設備の稼働が常に安定することになるかというと、必ずしもそうではありません。いわゆる「いじり壊し」という問題が生じてしまいます。典型的な「いじり壊し」は、ヒューマンエラーによる保守不良です。

3.突発的な故障に対応するのは困難
定期的な点検・整備・部品交換を行っていても、2.のようないじり壊し問題の発生があるように、突発的な故障に100%対応することは困難です。また、外部要因、例えば気象・他の偶発的な事故からの被害拡大など、故障の原因は保全の力の及ばないところにも無数にあるのが現実です。

保全の手法

ところで、保全を手法別に分類した場合、

の3種類があります。
保全の歴史を考えると、時間基準保全のデメリットを克服するために、状態基準保全の考え方が有用となり、さらに、保全の優先順位を整理するために、リスク基準保全の考え方が有用となっています。
とくに、CBM=状態基準保全は、故障・劣化をモニタリングし、将来の故障を予測することにより、不要な交換・操業停止を回避できる手法として注目されています。1970年代から提唱され、近時はIoTの発達で、個々の部品・材料の劣化についてモニタリング・解析が可能になっていることから、状態基準保全が主流の時代となっています。徐々にTBMからCBMに移行する保全活動も多くなってきています。多くの部品データ・材料データの組み合わせ・全体の状況の分析から状態を診断する技術もIoTやAIにより進化しています。

TBMとCBMの間のジレンマ?

しかし、先にも記載した通り、定期点検のもっている価値は、法定点検にもみられるように、特に安全性の要求が強い領域では尊重されます。定期的なメンテナンスにより、利用者の便宜をはかるべき機械・設備もあります。いくらCBM技術が進んだとしても、社会的にも適切妥当なものとして定期点検が認知されている場合は、法制度の中から定期点検がなくなる、ということはないでしょう。

いずれにしても、究極的は「突発的な故障を防ぎ、かつ、保全にまつわるコストを低減する」ことが保全の目標です。すると、100%計画保全の実施が理想です。突発的な故障・突発的な稼働停止を0にまで低減することは実際には難しいことですし、無駄なコストが一切出ない保全を目指せば安全性を犠牲にします。
そこで、手法の組み合わせとその意思決定の合理性が根拠づけられること=安全管理上・経営上の要求である、ということができます。

RBM=リスク基準保全と計画保全 

この点、内部統制における企業リスク分析手法に倣ったリスク基準保全の考え方が、合理的意思決定の根拠となります。
RBMは、おおむねリスクインパクトと発生確率のマトリクスで数値化された故障・操業停止を順位付けし、対応の優先順位を決める手法です。リスク基準によりマッピングされた優先順位に従い、TBM・CBMの手法を組み合わせ、保全カレンダーを作成すること・定期見直しをすることが安全管理上のタスクとなります。

まとめ

以上、TBMの特質と、保全手法の比較分類から保全の今後の展望を俯瞰してみました。保全の分野では故障・不要とみられる保全の排除により、企業、ひいて、産業全体のコスト削減の努力と、これに対する世の中の納得の均衡点が模索されています。今後技術革新により、保全のありようがさらにどのように変わるか、注目が集まります。

様々な分野で使われるAI。消費者、企業、政府部門の154のユースケースと29の業種における市場予測 世界のIoTに関するレポート公開中