【IoT用語集】CBM(Condition Based Maintenance)とは?

IoT用語集】CBMCondition Based Maintenance)とは? – 記事

Condition Based MaintenanceCBM)は「状態基準保全」とも呼ばれています。予防保全予知保全という用語は日本でも一般的ですが、どういう違いがあるのでしょうか。

1.日本での主流の考え方

保全には、

  • 事後保全 故障が発生してから機械・設備などの修理を行う
  • 予防保全 故障が発生する前に、機械・設備などの耐用年数などを基準として、部品の交換やメンテナンスなどの保全活動を行う

と、従来から2つのおもな方法があります。
故障が発生してから行う事後保全では遅すぎ、使えるものでも交換してしまう予防保全では無駄が多いとの欠点を克服するために、1970年代から状態基準保全の考え方が提唱されてきました。
現在安定稼働している機械や設備であっても、必要と判断されたときにのみ実施するのが状態基準保全の考え方です。現在日本でもIoTとセンサ技術の発展により主流となりつつある「予知保全」の類義語ではありますが、CBMは保全の必要性の基準を示す語として、別の用語として用いられることも多いようです。

2.欧米の保全の分類

従来より欧米においては、下記の3つの保全に分類しています。なにを基準に保全を行うか、その基準を提示している分類になります。

リスク基準保全は、状態基準の保全・時間基準の保全活動を問わず、リスクの発生頻度と、実際の故障・不稼働が発生した場合のリスク・インパクトをリスク・マトリクスから数値化して、優先順位をつけていく、という手法です。PDCAサイクルと内部統制の考え方が産業全体に波及している例の一つでもあります。
また、日本の「予防保全」「予知保全」という考え方は、故障の発生の事前・事後により分けている考え方ですので、Time Based Maintenanceの判断基準から見た用語分類であるといえます。「予防保全」「予知保全」の組み合わせ方も、リスク基準により整理されるものとみられます。

CBMに必要な技術

CBMの考え方自体は先にも述べた通り、新しい考え方ではありません。しかし、この考え方が提唱された1970年代、故障や劣化の診断に用いるセンサ・データ分析・解析用の計算機やコンピュータ自体が非常に高価なものであり、理論上は安価でありながら、診断のためのコストが莫大なため、実用化となるとなかなか進みませんでした。

車両・航空機等の検査

しかし、例えば車両・航空機・発電所(特に原子力発電所など)・産業プラントなどの人間の命と密接なかかわりを持つ領域や、ひとたび事故が起きると、環境・生活に壊滅的な打撃を与える領域では定期検査や、非破壊の診断技術(例:X線・光・音波等を用いる検査技術)が進歩していきます。故障・事故のコストと検査・診断のコストがうまくバランスする領域においては、機械・設備の状態を把握し、診断することにも相当のコストが用いられてきました。CBMの考え方が実用化された先駆分野はこうした分野でした。

ICT分野の技術革新と保全

ところが、大型コンピュータから、PCへ、計算機およびコンピュータは低コストの時代に入り、また、センサ技術も大幅な技術革新・ダウンサイジングの時代に入っています。また、画像分析・解析技術もしかりです。そこで、CBTが一気に多くの領域で実用可能になり、現在に至っています。
近時では、IoTの誕生と発展につれて、過去の材料・部品の破壊・劣化状況についてのビッグデータを基にした、非常に確度の高い材料の破壊予想・部品の故障予想まで可能になり、CBTの考え方はますます浸透するようになっています。
IoTにより、データを駆使して、部品・材料の状態の可視化が進んでいる今日においては、大型機械について製造業を中心に用いてきた保全のありようも、中小の小型機械にまで浸透し、さらに、故障診断そのものがサービスとして売られるところまで発展しています。ICT・IoTが保全のマーケット地図を塗り替える事態に発展しているといえるでしょう。

保全におけるコストベネフィットアプローチとバスタブ曲線

機械・設備のおおむねの故障率を把握し、コスト計算のための「モデル」となっているのが、「バスタブ曲線」です。経験則上、故障率は初期不良により故障率が高い状況から始まり(初期故障期)、保全により一定の故障率まで落ち着きます(偶発故障期)。その後、経年劣化のために再び故障率が上がります(摩耗故障期)。グラフにすると、ちょうどバスタブの形のように見えます。
すべての材料・部品にバスタブ曲線が妥当するわけではありませんが、バスタブ曲線が妥当する材料・部品から、コストを予測し、異常コストを防ぐために、保全手法は最適なものを選ぶ、という考え方が保全の世界では一般的です。
バスタブ曲線をモデルにしたコストベネフィットアプローチにより、有用性が認められれば保全を行う、とする考え方で、従来時間基準保全が妥当するとされてきた設備・機械が、状態基準保全を取るように切り替わっていく、という動きが続いています。

まとめ

上記に見たように、時間基準保全主流から、状態基準保全主流に切り替わってきている技術的な原動力は、ICT・IoTおよび構成要素である各技術でした。インダストリー4.0の影響により、より人の手を遣わず、AIによる合理的な判断を行い、ソフトパワーを生かす時代の流れからすると、近い将来の展望としては、リスク基準保全に止揚するものと考えられます。

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