【IoT用語集】OT(Operational Technology)とは?

IoT用語集】OTOperational Technology)とは? – 記事

OT =Operational Technology とは、IT=Information technology に対する言葉です。情報ネットワークにより、データを収集・分析し、経営に生かすテクノロジーがITであるのに対して、ハードウェアに働きかけ、制御・運用を行うためのテクノロジーを言います。ITとは対義語となりますが、IT技術による裏付けが先進的なOTを実現することになります。

制御・運用に際しては、データネットワークにより、工程の担い手を人からAI・ロボットに代替させることがOTにおいて進んでおり、ITとOTは近接と融合が進んでいます。IIoT(産業界のIoT)や、ファクトリーオートメーションにおけるOT、自動運転におけるOTが、ITと融合し、高度化されたOTの典型例です。

OTの構成要素には、PLC、SCADA、DCS、CNCおよびcomputerized machine toolsといった制御装置と、制御装置と産業用ロボット・パワーサプライなどを結ぶフィールドネットワークがあります。
製造業の工場のほか、電力・水などのユーティリティ業界・廃棄物処理・鉄道などの公共交通および輸送・化学産業等でもOTは利用されます。

ITネットワークとOTネットワークの融合による高度化

ITとOTの近接傾向と融合の過程について、FAにおけるフィールドネットワークを例にとって見てみましょう。
OTの制御・運用に必要な通信ネットワークは、ITネットワークと異なり、信号を伝送対象とする、フィールドネットワークを用います。ITネットワークで用いられるTCP/IPはフィールドネットワークのプロトコルではありません。このフィールドネットワークにより、各機器を人が制御したり、コントローラーを介して人が運転を行わなくても、生産ラインを動かすことが可能になります。

しかし、フィールドネットワークも、オフィス用のEthernetを通信線としたオープン規格による構築が近年では主流になっており、通信線のレベルではオフィス用通信と変わらなくなってきています。さらに、IIoTの導入と、電気信号のコード化(およびデコード)を通じて、制御・運用のためのデータおよび分析用のデータは相互に変換可能となっています。IoT端末で収集されるデータと同様に分析対象となりえます。サーバ側で、AIによる分析・判断、そしてFA側への分析データを変換ののち信号としてフィードバックすることも可能です。
こうして、技術的なITとOTの近接傾向と、IIoTがブリッジとなることにより、ITネットワークとOTネットワークは融合を果たすことができます。

FAの要求事項をITで実現

さらに、FAにおいて必要とされるオペレーションをITが提供することにより、OTとITの近接と融合が加速します。
連続可用性 電源監視・稼働監視などをIoTで行うことにより、OTネットワークの可能性を担保します。
予知保全 部品・ライン・機械・設備の故障またはその予兆をセンサで検知、アラートを管理者に発出、保全活動につなげます。
運用の自動化 人工知能、とりわけディープラーニングを代表とする機械学習アルゴリズムや、即時のレスポンスを確保できるエッジコンピューティングにより、産業用ロボット制御・工程自動化を促進することができます。

OTとITの融合における課題

以下では、OTとの融合を図るために、IT側において課題になる要素を取り上げます。

プロトコルの互換性

OTとITのプロトコルは、相互に互換性がないという問題点があります。コード化・デーコーダにより、プロブラムコードと信号をそれぞれ変換し、相互に利用可能にすることは可能ですが、フィールドネットワークの標準化が進まないことから、ことはそれほど単純なものではありません。工業用機器・測器に、Web 標準技術を持ちこむことによる課題の克服が模索されています。

厳格なセキュリティへの対応

OTの世界では、ひとたびハッキング・クラッキングの被害が出ると、生産ラインが止まることを考えなければならないほか、人間の体に有害な物質の排出など、深刻な事態が生じる可能性があります。このように、セキュリティに対する要求水準が非常に厳しいため、ITセキュリティ技術の一層のレベルアップが求められています。IIoTにおいて、特にクラウドサービスの利用については、認証方式・通信の暗号化と通信速度の両立など検討課題が多くあります。

厳格なリアルタイム性への対応

FAの制御に厳格なリアルタイム性は欠かせません。この点、分散処理、特にエッジコンピューティングにより、この課題に対応していますが、よりコストのかからない克服方法も検討されているところです。

OTとITの融合を支える人材と組織

今後もOTとITの融合を進めるにあたっては、技術者の確保も重要ですが、より広い分野の見識を持つCIOの登場が必要となります。また、プロジェクトマネジメントのありようも、コーディネーションと、技術分野のリード役を分業させ、部署間連携を強めるなど、組織のありようにも変革がもたらされることが期待されています。

まとめ

人に代替するテクノロジーの活用、特にIoTとAIVR・ロボットにより製造業の効率化・合理化を図るドイツインダストリー4.0の実現において、OTとITの融合はカギとなる要素と考えられています。日本もコネクティドインダストリーが日本版のインダストリー4.0として2017年に経済産業省から発表されました。産学官が連携し、融合を進めていくか、注目したいところです。

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