【IoT用語集】中国製造2025とは?

IoT用語集】中国製造2025とは? – 記事

中国製造2025」とは、中国における国家戦略として2015年4月に発表された計画です。2015年から2025年の10年間に、製造業を発展させ、「世界の製造強国」にする計画です。
ドイツ政府が発表したインダストリー4.0に影響を受けています。

中国の製造業の現状

中国は付加価値額ベースで、2012年にはすでに2.62兆ドルの製造「大国」になっています。しかしながら、イノベーション・工業化から情報化への流れ、品質、生産効率、産業構造、資源利用効率など、各種製造業の指標たる数字で他の工業先進国から大きく後れを取っています。
工業化には、1.0=機械化、2.0=自動化、3.0=情報化の発展フェーズがありますが、中国の現状は2.0の自動化が達成されたところであり、工業先進国は3.0から4.0に向かっているところです。

人海戦術から人材難の時代へ

中国の製造大国ぶりは、豊富な労働力と、購買意欲に支えられ、日本でも「爆買い」といった言葉に象徴されるように、周辺諸国にとっての競争上の脅威であり続けてきました。どの周辺諸国でも、また、どの産業でも中国の製造業の影響を受けないことはないといっても過言ではありません。しかし、一人っ子政策のあとは、人材難の時代が待ち受けているといわれるように、質量ともに中国国内の人材市場は困難な時代を迎えつつあります。こうした人材市場における課題も、中国製造2025で強く意識されているところです。

大国から強国へ

現状を踏まえて、課題の克服のために、中国政府が2013年から専門家・エンジニアの手により作成したのが中国製造2025です。2035年までに製造業を「世界の製造強国陣営の中位に位置させる」、2045年には「製造強国のトップ」にするといった計画を立てています。
ここで「中位」・「製造強国」といっているのは、先に述べた通り、各種指標においてこれらの目標を達成するという意味であり、品質・環境保全・産業構造・生産方式の情報化および効率化・イノベーションといった分野の指標である数字をあげることが具体的な目標となっています。

製造強国入りへの取り組み

中国製造2025では、5つのプロジェクト・10の重点分野への注力・国家予算の支出を行い、9つの目標を達成することが計画されています。プロジェクト・重点分野・目標を紹介すると次のとおりです。

5つのプロジェクト
①製造業イノベーションセンターの建設、②スマート製造、③工業基礎能力の強化、④グリーン製造、⑤ハイエンド設備のイノベーション

10の重点分野
5Gなどの次世代情報通信技術、②先端デジタル制御工作機械・ロボット、③航空・宇宙設備、④海洋設備・ハイテク船舶、⑤先進的な鉄道など軌道交通設備、⑥省エネルギー・新エネルギー自動車、⑦電力設備、⑧農業用機械設備、⑨新素材、⑩バイオ医薬・高性能医療機器

9つの目標
①イノベーション力の向上、②IT化と工業化の密接な融合、③基礎能力の強化、④高品質ブランドの建設強化、⑤全面的なエコ化の推進
特に中心的プロジェクトであり、現在のスマートフォン市場にも象徴されるとおり、中国の潜在的な強みであるIT分野については、2035年には製造業の情報化を達成することが目標とされています。先端分野の先進的取り組みを行う半官半民の製造現場においては、IoTの導入も進められており、情報化の達成は前倒しされるのではないかとの予測も目立つところです。

中国型イノベーションに警戒を強める欧米各国

現在イノベーションの推進は国営企業または国の投資により立ち上がった企業が中心となって行っており、例えばファーウェイのR&D部門は多数のモバイル端末特許を取得しているほか、2017年に33社のユニコーン企業(時価総額10億ドル以上の未上場企業)のうち12社のユニコーン企業が中国企業であり、国の投資を背景に技術開発活動を盛んに行っています。もはや中国を「イノベーション強国」と呼ぶ識者もいます。
また、深セン地域にはスタートアップカンパニーの小口の注文にも応じるファブレスメーカーや、基板メーカーなどもあり(これらも政府の出資を背景にしています)、国がリードしてイノベーションを育てる姿勢を積極的に示しているものといえます。
しかし、中国は、伝統的にビジネスでもなかなかボトムアップアプローチが通用せず、また、強い政府の知財支配政策のもと、知的財産権がエンジニアのインセンティブにならない制度を持っていることから、欧米各国により、中国がイノベーションの推進を中国製造2025で打ち出していることを警戒する動きが出ています。ZTEに対する経済制裁などはその一例です。また、中国株への投資への陰りもこの計画の発表後見られた事象であり、株式市場の不安定要素となっています。

まとめ

中国製造2025について、日本では協調およびウインウインの関係づくりを模索する動きが強くなってきています。シンクタンク・コンサルティング会社のリサーチペーパーなどを見ると、欧米各国で見られるような悲観論・緊張感というより、環境問題への取り組みを高く評価したり、あるいは技術移転に商機を見出す意見も少なくありません。地理的な近接性も踏まえてあえて言うと、プロジェクト「参加者」の立ち位置からもこの計画の状況に注目したいものです。

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