【IoT用語集】ERP(企業資源計画・統合基幹業務システム)とは?

IoT用語集】ERP(企業資源計画・統合基幹業務システム)とは? – 記事

ERPは、Enterprise Resource Planningの略です。会計、人事、生産、物流、販売など企業にあるありとあらゆる情報を、統合的かつリアルタイムに処理し、効率的な意思決定を行うための一連のパッケージソフトウエアを指します。「基幹システム」=ERPとする用法も最近では一般的です。
世界市場において著名で市場占有率も高いERPパッケージに、SAP社の「SAP R/3」、オラクル社の「オラクル アプリケーションズ」などがあります。近年では、ERPのクラウド化も進んでいます。

ERPの目的

ERPは機能の上で多種多彩といえますが、下記のような目的に資すると考えられています。

  • 経営上の意思決定の判断材料の迅速な提供
  • 場所を問わない情報の共有
  • 経営の意思決定の即時性の担保
  • 情報の可視化・部門間連携の促進
  • ヒューマンエラーの防止

ERPでできること

ERPはすでに多種多様な製品があり、それぞれ機能が若干異なりますが、企業内にあるありとあらゆる情報を、システム上で表示し、経営陣が意思決定を行えることが目的なので、次のような機能を提供しています。すべてのERPが下記の機能を持っているわけではなく、ベンダーごとに特色があります。したがって、下記の中から基幹業務の業態に合わせて、ベンダー・パッケージの中で導入すべき機能を取捨選択していくことが必要です。

  • 経理財務系機能
    財務会計・管理会計・予実管理・販売管理 (受注・請求)・購買管理・原価ないし費用管理
  • 営業系機能
    顧客管理(マスター管理・CRM)・営業支援管理(帳票作成・管理支援・債権管理・回収支援等)
    倉庫・在庫管理・サプライチェーン管理
  • 業務系機能
    プロジェクト管理(リソース管理)・生産管理・人材管理・マーケティング管理・Eコマース・決済管理・安全管理
    ビジネスインテリジェンス(BI)(ベンチマーキング・データマイニング等)

ERPの課題

しかし、ERPの導入・新規選定には下記のような困難が伴います。

  • 種類が多すぎてどれを選べばよいのかわからない
  • カスタマイズが柔軟ではない
  • 既存システムとの統合が難しい
  • 投資額が大きすぎる
  • 技術者の不足

クラウドERPのインパクト

上記の困難のうち、クラウドERPを利用することで投資コストや人手不足に対応することが可能です。
クラウドERPは、①基本的にサブスクリプションフィーのみで利用が可能であり、②社内のメンテナンスコストもかかりません。また、メンテナンスにかける人材も必要がなくなります。このため、クラウドERPはそれまでの「ERPは大企業のもの」との既成観念を崩して、日本市場では一気に中小企業に利用者のすそ野を広げる効果が生じました。とくにfreee, Money Forwardにより、中小企業への普及率が高くなったことについては、日本のERP市場のエポックメイキングなエピソードであったといえるでしょう。

ユーザーの広がりとERPの導入・利用形態の変容

それと同時に、ERPをすべての業務で使うことも限界があることをユーザーもよく理解するようになった、というのもクラウドERPのもたらした効用といえるかもしれません。中小企業は導入コストに大変センシティブですから、クラウドERPにおいても、機能を絞って利用する形態が一般的です。むしろすべての機能をつなげるよりも、ある程度はデータのエクスポート・インポートにより既存システムと両立させるほうが現実的です。
比較的に大規模の企業においてもこの考え方で段階的導入というよりも、部分的導入を図ることも一般的になってきました。また、ERPそれ自体も、元来の一気通貫に情報を処理する「統合型」に対して、関連の深い機能をグループ化して、分割導入可能にしている「コンポーネント型」、一つ一つの機能からばら売りにしている「業務ソフト型」が登場しています。このように実際の導入形態に合わせて製品ラインナップが変わってきています。
したがって、ERPは現在機能統合にそこまで重きを置かれないようになっています。例えば、帳票機能やデータマイニング・CRMは既存の優れたソリューションのアップ‐デートを優先させ、データをRPAなどの仕組みをつかってやり取りするなどというあり方は企業規模を問わずごく一般的です。

製造業向けERPとIoTのコラボレーション

今後さらに進化が期待されている分野に製造業向けERPがあります。現在意識されているのはインダストリー4.0と軌を一にしています。生産現場のデータをより効率的に取り込むことで、生産管理の非効率性を徹底的に削減しようというものです。産業用ロボットの操作・監視および製品データ・生産環境のエネルギーマネジメント・物流までIoTでデータを吸い上げることにより可能になってきているため、今後製造業向けERPとIoTのコラボレーションが期待されます。

まとめ

ERPの導入と利用については、困難を伴うため、ベンダーも導入のしやすさ・使いやすさに工夫をしています。その中で、導入を推進する社内のプロジェクトマネジメントや、ベンダー選定の意思決定が適切になされることが必要です。工場だけでなく、IoTとのコラボレーションも期待されるなど、ERPをめぐる動きに今後も注目が集まるものとみられます。

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