【IoT用語集】「見える化」とは?

IoT用語集】「見える化」とは? – 記事

見える化」とは、生産現場で生産ラインの異常・工程の異常を知らせるために、工場内のメンバーが「赤ランプ」を全員で見ることのできる表示盤に点灯させることから始まります。これが、例えば営業・物流・経営といった企業の活動全般について、図やグラフなどのデータの形で皆が見えるようにするといった形に発展し、「見える化」を可視化という言葉の代わりに使うことが多くなったものです。
「あんどん方式」「かんばん方式」といった名前でトヨタ自動車の生産ラインで利用されたのが発祥とされています。
著名な経済学者・経営学者・コンサルタントなどが、トヨタ自動車の生産の合理性・効率性が高さに着目し、図やグラフにより、問題点の可視化を図ること推奨する動きがありました。一時、「見える化」は流行のように各所で喧伝され、業種を問わずある程度ビジネスには有効な手法であることが意識されるようになりました。さらに、IT化の進展により、ITシステムを利用した数値化・図表化・グラフ化による情報共有に見える化の中心が移り、現在に至っています。

「見える化」が流行した背景

「見える化」が提唱されるきっかけとなったトヨタの生産方式は、クリティカルな不具合を即時に情報共有することにその特徴がありました。ですので、当初「あんどん方式」「かんばん方式」の優位性は、問題点を即時に必要な人が知ることにより、事故や生産ラインの大きな不具合など、おもに製造業の重大事象の解決に主眼が置かれていました。これらの重要な事項は、即時に対応すべきものであり、優先順位があきらかに高いものといえます。
「あんどん方式」「かんばん方式」の可視化がオフィスワークの世界で「見える化」として意識されたのは、2005年の遠藤功の書籍「見える化」です。このころ、「見える化」という言葉が可視化に変わりビジネス用語として定着するとともに、情報が過剰となった時代の問題点が強く意識されていました。経営の意思決定に必要な情報が、大量の情報に埋もれて問題点も判断材料も見えない。このことが「見える化」出版の背景となったことは間違いありません。おりしも数字情報は、エクセルファイルでそれまでより容易に作ることができるようになったのが2000年代初頭です。その一方で、その取捨選択がしにくいこと、また大量の情報を見る時間もない経営者にどのように重要な数字を短時間で見せるのか、強く課題として意識された時代でもあります。

「見える化」が解決できること・解決できないこと

「見える化」が解決できることは、以下の3つです。

  • 情報を取捨選択する
  • わかりにくい情報をわかりやすくする
  • 多くの人に情報を知らせる

しかし、上記のみでは、ビジネスの情報を取り巻く課題がすべて解決できるわけではありません。

  • 情報をもとに判断する
  • 取捨選択の基準を決める
  • 情報をどこまで知らせるか決める

といった、「見える化」に密接して関連する課題は次元の違う問題であり、「見える化」で解決できることではありません。
例えば、CRMソリューションをあげるとわかりやすいと思われます。CRMは顧客との関係を「見える化」するのに大変役立つソリューションではあります。しかし、コンタクト情報として、どこまでの情報を格納し、情報にアクセスする範囲を決め、ダッシュボードの数字をどのビジネス活動に役立たせるか、課題となります。これらを決めるのは、経営者や上級管理職の役割であり、これらの利害関係人の判断にかかっています。判断はCRMで見えている情報によるものでは必ずしもなく、あくまでも「見える化」は、一部の問題を解決する「ツール」ということができるでしょう。

「見える化」ソリューションの問題点

CRMソリューションに見るように、数字がダッシュボードで把握できる・グラフの作成が容易かつ見やすい表示・フローの把握が容易、といったメリットのあるシステム・サービスは近時大変ポピュラーで、「見える化」機能がシステムの高い付加価値を作り出している、ということができます。
しかし、導入のための工数・コスト、近時ではアクセス権限やセキュリティの問題など、「見える化」がもたらす負担も大きいものです。クラウドサービスも、会社の「最大公約数」というべきソリューションを提供しますが、カスタマイズについては柔軟性がなく、カスタマイズにかける工数がかかりすぎる、といった問題も生じがちです。

「見える化」をどこまで行うか、どうやって生かすか

上記に見たように、「見える化」+ITソリューションの負担を考えると、もともと「見える化」は一部の問題を解決するのに過ぎないことに立ち返って、見えなくてもあきらめる、といった決断がしばしば経営陣には求められます。また、「見える化」を生かすには、部門間コミュニケーションが円滑であることや、目的を共有していることなどが求められるでしょう。

まとめ

「見える化」著者遠藤功氏は、「見える化」を生かすために「つなぐ化」が必要としています。問題事象をせっかく即時にしかるべき範囲で共有したとしても、組織が有機的つながりを持って動けなければ、「見える化」のメリットは生かせない、ということです。可視化はビジネスの終わりない旅、とも言え、各種ITシステム導入においては、各社がどれだけ可視化機能を評価するのか、今後も見守る必要があるでしょう。

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