【IoT用語集】Society(ソサエティ)5.0とは?

IoT用語集】Society(ソサエティ)5.0とは? – 記事

ソサエティ5.0とは、2016年1月に内閣府から発表された政策の一つです。第5期科学技術基本計画に織り込まれています。第5期科学技術基本計画は、平成28年から32年までの国の科学技術政策として実行される計画です。これまでの情報社会=Society 4.0 から踏み込んで、情報通信技術を国の提供するサービスの一部に組み込み、すべての人の自己実現のために利用可能なものにするビジョンでもあります。交通 ・ 医療・介護 ・ ものづくり ・ 農業 ・ 食品 ・ 防災 ・ エネルギーの各分野でのICT活用を通して、内閣府によれば下記の目標を達成しようとしているとのことです。

  1. 持続的な成長と地域社会の自律的発展
  2. 国及び国民の安全・安心の確保と豊かで質の高い生活の実現
  3. 地球規模課題への対応と世界の発展への貢献
  4. 知の資産の持続的創出

このソサエティ5.0は、2014年に総務省から発表された、「スマートジャパン・ICT活用戦略」が示す日本の社会的課題について、認識を共通にしています。内閣府の主唱するソサエティ5.0はもう一方踏み込んで、社会的課題の解決と、経済発展をバランスよく達成しようとするものです。
社会的問題の背景には、日本の少子高齢化・国際競争力の相対的低下を回復することが意識されていることは言うまでもありません。

ソサエティ5.0の中心的技術

上記の目標の達成に使われるICT技術は、IoT=Internet of things モノのインターネット、AI=Artificial Intelligence 人口知能そして、VR=Virtual Reality が主なものとして挙げられます。これらのICTの先端技術を用いてデータを活用し、人間の労働を代替・軽減し、イノベーションに人間の労力を重点的に振り向けることにより、少子高齢化にかかわらず成長力と活力のある社会を目指すものです。
これらの中心的技術の役割は、おおむね次の通りです。

  1. IoTで人・モノをつなぐ
  2. IoTで収集したデータをAIに正しく判断させる
  3. VRで危険なことその他リスクの高いことはシミュレーションさせる
  4. VRにバーチャル市場を広げる

ソサエティ5.0のもたらす社会的課題の解決

ソサエティ5.0の特徴は、課題解決型アプローチをとっていることです。主な社会的課題として意識されていることは次の通りです。

1.インクルーシブな社会の実現
ソサエティ5.0で強く意識されている社会的課題の中には、インクルーシブな社会づくりがあります。障がいの有無・年齢の高低・ジェンダーの別にかかわらず社会参加が可能になることは人手不足の日本で待ったなしの課題です。IoTでデータさえ集めることができれば、体力的負担の少ないワークスタイルが実現できるでしょう。働き方改革・障がい者雇用・女性活用などは、政府の目ざすICT活用で改善の見通しがつくことが期待されます。

2.貧富の差・多国間の経済格差の解消
テレワーク・リモートから一歩進んで、VRにおける市場を観念するなど、スケールの大きい利用を目指すのもソサエティ5.0のビジョンに特徴的なことといえます。国内の貧富の差・過疎地と都市の差も、日本のパイが拡大することや、場所を問わない経済活動で、次第に埋まっていくことが期待されます。
金融センターであるニューヨーク・ロンドンや、製造業センターかつ一大消費地である中国のように「地の利」が生かせない日本では、場所を問わずにビジネスチャンスに手が届くことが非常に重要であるだけに、VRを通じた「拡大市場」の考え方は魅力的なものということできます。

3.環境問題・エネルギー問題
環境問題も強く意識されています。温室効果ガスの削減・リサイクルの推進、その他環境保全活動などは、非常に手間のかかることであり、ややもすると、人手不足のために、国際社会での応分の負担を果たすことができないことも日本の問題点です。IoTによる環境モニタリング・自動運転電気自動車の導入が進むことになれば、日本も応分の負担を果たせることになります。また、エネルギーマネジメントシステムは、東日本大震災で注目されることとなりましたが、エネルギーマネジメントシステムの普及推進は、環境とエネルギービジネスを徐々に変えています。今後も加速することが望まれる分野です。

ソサエティ5.0の類似概念

ソサエティ5.0の類似概念として、ドイツ政府の主唱するインダストリー4.0があります。この背景にもドイツの相対的な国際競争力の低下と、人手不足(ドイツの場合は特に移民依存構造)があります。技術的にも同様のICT技術を活用することが想定されています。
インダストリー4.0とソサエティ5.0の違いは、前者が製造業を視野の中心において、国家戦略を組み立てていることに対し、サービス業・労働集約型のオフィスワークを視野の中心においていることにあります。これはドイツと日本のそれぞれの伝統的な強みの違いに由来するものと考えられます。

まとめ

内閣府のソサエティ5.0のページにもあるように、「人間中心の社会」を打ち出すこの構想については、産業界でも歓迎する声が強く、評価も高い構想です。しかし、技術にともなうソフトスキル・ソフトパワーの担い手が不足している現状ではそもそも掛け声倒れ、といったシビアな批判もあります。今後の総務省のICT戦略との連携がどのように進むか、注目したいものです。

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