【IMTS2018】 NEXCOM:クラウド環境でのスマート・マニュファクチャリングとロボット・モーションコントロールの統合

IMTS2018】 NEXCOM:クラウド環境でのスマート・マニュファクチャリングとロボット・モーションコントロールの統合 – 記事

NEXCOMとはどんな会社?

NEXCOMは台湾に本社を置くインテリジェントソリューションを提供する企業です。1992年創業のこの会社は産業用コンピュータの分野での経験を強みにして、製造業を中心にその情報化及びネットワーク化促進をサポートしています。製造業のオートメション及びデジタル化による経営の情報化をコア・バリューとして6つの事業分野をグローバルに展開していますが、特に最近はIoTをキーワードにしたソリューションやネットワーク、セキュリティのサービスに力を入れています。台北の本社のほかに中国イタリアアメリカ日本、英国を6拠点として、世界中でグローバルパートナーと協同でIoT導入を進めています。

今回のIMTSではネットワークとクラウド環境を使ったスマート・マニュファクチャリングとロボットとモーションコントロールを統合するオープンソリューションの展示が中心です。

今回のブースではRonさんにお話を伺いました。

OT/IT ソリューション iAT2000

異なるブランドのPLCやI/Oデバイス間のプロトコルを統合して一つのSCADAシステムを組みたいという要求に応えるためのシステムキットがiAT 2000です。

クラウドベースのコントロールシステムでそれぞれのシステムコンポーネントを統合し、OT(Operation Technology)とIT(Information Technology)の連結をサポートします。iAT2000は6つのフィールドバス・プロトコールに対応するそれぞれ独立したOTデバイスボックスを持ち、PROFIBUS、PROFINET、EtherNET/IP、EtherCAT、DeviceNET、CANOpenのプロトコールを統合できます。iAT2000のそれぞれのパッケージはスレーブI/O、ローカルHMI、コントローラーがセットになった、オール・イン・ワンの構成になっています。

コントローラはPCベースで、ショップでのプロセスごとの必要に応じてユーザー側でプログラムできます。デバイスをモニターするローカルHMIでプロセスを可視化し、必要に応じてカスタマイズが可能になっています。

このiAT2000はNEXCOMのサイバー・フィジカル・システム(CPS)と呼ぶIndustry 4.0の実現を促進するためのソリューション ”iAutomation” を形にしたものです。同社のIAS(IoT Automation Solutions)事業部はこのシステムを拡張するためのツールとしてロボットソリューション(NexROBO)、EtherCATによるモーションソリューション(NexMotion)そしてインターネットによるクラウドソリューションを揃えています。

今回のブースでは5つのローカルHMIをつなぐiAT2000のシステムがデモ展示されています。それぞれのiAT2000パッケージが5つの異なるプロトコールを処理し、上位のWeb SCADAに統合させてモニター上に表示されています。これによりオペレーションの現場ではデータをERP(Enterprise Resource Planning)及びMES (Manufacturing Execution System) 上で管理し、SCMの最適化に活用することができます。また、現場の生きた情報をそのままビッグデータとして活用し、AIを作用させれば異常の早期検出や予防保全が効果的に運用できるでしょう。

更に上位ネットワークとのWiFiによる接続の部分です。ワイヤレスゲートウェイ NIO 200を使って、iAT2000のシステムとクラウド上のSCADAとのやり取りを行うネットワークモデルを展示しています。ISA100をベースにした信頼性の高いネットワークを構築できます。クラウド上でSCADAデータを管理できることで、IIoTの目標である「コネクテッド・ファクトリー(繋がった工場)」が実現できるのです。ショップの情報は遠隔地のマネジメントレベルでも共有できますので、グローバルレベルでの生産管理や経営計画に直接反映させることができます。

もともとのiATのシステムは製造業での用途を想定していますが、石油産業や化学プラントでも採用実績があるそうです。特に石油産業は資源産業として世界的な需給の変動のコントロールが重要で、油井ごとのの産出量のグローバルな管理が求められている産業です。iATシステムの拡張性やロバスト性の高さを示しているものと思われます。

PDM(予知診断型メンテナンス)ソリューションパッケージ NISE3700

ブースに展示されたPDMソリューションは製造ラインのモーター部品の予知診断のケースを想定したキット展示です。パッケージはPDMステーション本体の他、インダクションモーターや減速機、ブロワー、振動センサーとPLC及びIoTゲートウェイを含んだセットで、実際の稼動条件を想定してコンポーネントの予知診断を行うことができるようになっています。ステーション本体のハードウェアはIntelのCoreプロセッサーを使用しています。デモは自動車産業のラインを想定したものですが、こちらも石油産業や自動車以外の製造業でも広く使われているとのことです。

AIロボットコントロール NexCOBOT

NEXCOMによる産業用ロボットAI人工知能)コントロールシステムとしてNexCOBOTが展示されていました。ビジョンセンサーをベースにロボットによるハンドリングをAI化するコントロールシステムです。AIのディープラーニングを使ってロボットにピッキングの対象物を視覚的に学習させ、部材の形状や色、パターンから対象物を判断してハンドリングをコントロールします。IntelのAIビジョン用ツールキットOpenVINOと、NEXCOMのロボットコントローラNexGRCを統合したシステムです。AIによる学習プロセスに用いる情報が従来のものよりも少なくてすむ、ということです。ブースでは6軸ロボットが発光ダイオードの付いた部品をハンドリングするセルが展示されています。セルはアメリカのロボットメーカーによる教育用ロボットセルが使われていました。

NEXCOMはビジョンセンサーによるAIの活用として、フェイス・リコグニションによる工場や研究施設へのアクセスコントロールも開発を進めています。

最後に

製造現場の管理者にとっては、マシンからのリアルタイムの情報を見て判断できれば生産計画の適正、迅速な修正・変更が可能になります。ゲートウェイは独立したエッジコンピューティングを利用することで、データのセキュリティのリスクを軽減することができます。過去の実績からのデータの蓄積によってオペレーションのパターン分析が可能になれば、生産ビッグデータを活用した事業判断を下すことができることになるでしょう。

グローバルな情報産業の企業では、IIoTはビッグデータと一体のものと考えられています。現場での情報から有意なデータを取り出すことは事業価値を創出するためのアプローチと考えられるからです。NEXCOMのデータ・コミュニケーション・ネットワークとIoTゲートウェイによって、エッジコンピューティングを素早いタイムリーな経営判断のフロントエンド・プラットフォームとして使うことができるようになります。また、経営層は全社レベルのバックエンドでのデータ処理が可能となり、現場の生産情報を経営情報として活用するリソースにできます。

NEXCOMは産業用コンピューターのデータ処理での20年以上の経験を踏まえて、今後のIndutry 4.0及びIoTの推進役の一人として存在感を高めて生きたいと考えています。特に産業IoT(IIoT)では同社の情報・コミュニケーション技術が活かせるでしょう。エッジコンピューティングおよびゲートウェイの分野での強みもありそうです。IMTSでの展示はクラウドとIoTを中心にしたものですが、同社の狙いはそこから吸い上げた情報を扱うビッグデータの取り扱いまでを視野に入れたIoTゲートウェイの構築をサポートすることのようです。データの蓄積やセキュリティ、フィールドデータのフィルタリングやマイニングなどの処理がエッジコンピューティングに求められていくと考えています。

IMTSとは


IMTS(International Manufacturing Technology Show) は、アメリカで最も大きい製造業の展示会です。IMTS 2016では過去最高の出展企業数(2,407)を誇り、登録数(115,612)も過去3番目に多く、McCormick Place複合施設にて1,370,256ft2(127,300m2)もの敷地面積に渡って開催されました。IMTSはアメリカ・シカゴにて偶数年に1回開催され、117カ国のバイヤーとセラー(売り手)が集います。

2018年情報
名称: IMTS – International Manufacturing Technology Show
スポンサー: AMT – The Association For Manufacturing Technology
日程: 2018年9月10-15日 | 2020年9月14-19日
場所: McCormick Place・2301 S Lake Shore Dr・シカゴ、イリノイ州、アメリカ
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