【IMTS2018】ZEISS Industrial Metrology:ドイツの老舗光学機器メーカーの測定器部門

【海外展示会2018】ZEISS Industrial Metrologyドイツの老舗光学機器メーカーの測定器部門 | IMTS2018 – 記事

ZEISS Industrial Metrologyとはどんな会社?

ZEISS Industrial Metrologyはドイツのカメラ用レンズのメーカーZEISSの測定器部門が独立した事業グループです。産業用測定器部門のアメリカ本社はミネソタ州ミネアポリス郊外のメイプルグローブにあります。この部門は世界の従業員数2400名で、工場はドイツ、アメリカ中国インドにあります。さらにアメリカ国内6ヶ所に測定器センターを置き、微細構造の可視化技術を活用した精密加工プロセスの測定機器を提供しています。今回のIMTSではとくに自動車や航空機などの製造に関する産業用の用途に的を絞ってレーザー測定器と接触型測定器を展示していました。

今回のブースではAndyさんにお話を伺いました。

ZEISS Industrial Metrologyの測定器は、機器の精密な動きを測定し測定部分の三次元座標を計算することで、その端部スタイラスが接触している接点の軌道を追跡し、その変化を測定値としてアウトプットすることを基礎としています。この座標測定器(CMM)は一回の動きで試験体の表面パラメータを測定し、複数の測定項目に対しても全て同時に測定するので、再測定の必要はないそうです。

IMTS展示製品

表面粗さ測定器 Rotos

今回のBoothではCMMにプローブを装着して特に表面粗さを測定する機器としてRotosが展示されていました。Rotosによる材料の表面パラメータ測定に先立って、サンプルの大きさや形状はZEISSのPrismoとCerterMaxという二つのCMMで測定され、大きな逸脱はこの段階で分析されます。
PrismoはZEISSの高速スキャニング位置測定器で、生産現場での機械部品の精密測定を目的として設計されています。ZEISSの多用途センサーシステム(MASS)は接触型測定器と光学測定器が使用可能です。両者は共通のインターフェイスを用いるので簡単に付け替えることができるようになっています。測定制度としては、1,000mmのレンジを0.9ミクロン以下の精度で測定します。

CenterMaxは生産ラインの中に設置して使用することを想定して作られた測定器で、工程内で発生する振動の影響を受けないように緩衝設計されています。CenterMaxは測定環境の温度条件による差を補償するため、温度可変精度(TVA)式と呼ばれる方法によって温度条件ごとにその精度を決定することができます。

CMMのプローブのインターフェースとしてこのセンサーを装着することで、Rotosの表面粗さ測定器はこれらのCMMと強調して材料表面のうねりや粗さを検知します。スタイラスの選択にも寄りますが、Rotosは0.03ミクロンまでの表面粗さを検知できます。センサーアームは三つの回転軸と複数のスタイラスが装着可能で、これによって複雑な形状の材料や手では届かない深い穴の中の表面形状も測定できます。シーリング表面用にすべりを押さえたスキッドレスのスタイラスも用意されています。

ブースではエンジン・マニフォルド部品を使用した、Rotosによる測定をデモ展示していました。PrismoのアームにインストールされたRotosセンサーのスタイラスがマニフォルドの孔の内部に入り込んで孔の内面の表面精度を測定する様子が見られます。

上の画像は、Rotos センサーを取り付けたZEISS Prismo が測定した表面粗さの測定結果を表示するディスプレイです。ZEISSのサポートする形状測定ソフトウェアCALYPSOにより、外形測定位置と表面粗さ、表面うねりが一つの画面に表示されています。

CALYPSOは製品図面上の要求較差に基づいて測定項目を指定することで、計測プログラムを作成し、プローブの測定経路を自動で生成するソフトウェアです。CALYPSO の測定プラン自動生成機能 CALUPSO PMIによってCAD図面上の寸法、位置精度、形状欠陥といった測定対象の項目から直接測定プログラムを作成することができます。測定を速く、使い勝手のよいものにするためにCALYPSOでは直線度、平面度、真円度といった個々の形状測定要素は個別に管理されています。

ZEISS DuraMax

ZEISS DuraMaxは製造現場で使用するCMM測定器。一秒間に500点を測定するマルチポイント・スキャニングセンサーで材料の外形を測定し、自由な表面形状に対応するため、固定式のゲージが不要です。500 x 500 x 500mmの測定作業レンジ内でステージ上の部品を2.4ミクロンの精度で測定します(環境条件 18~22℃)。展示ブースでは二台のDuraMaxを設置し、両者間の部品ハンドリングをロボットアームで移動させるデモが展示されていました。このDuraMaxは15~40℃の温度環境で使用可能なDuraMax HGTです。

表面品位測定ツールSURFCOM TOUCH 50

SURFCOM TOUCHは表面品位を測定する携帯用の測定機器で、IMTSの展示ブースでは同シリーズのSURFACE TOUCH 50を使った表面粗さの測定を展示してくれていました。SURFCOM TOUCHは測定の条件設定やキャリブレーション、測定そして分析を行うための7インチLCDタッチパネルが付いた携帯式の計測システムです。SURFACE TOUCH 50は平滑な材料表面の品位を50mm当たり0.3ミクロンの高精度で測定すると同時に、凹凸のある材料や曲面材料についても表面粗さ及びうねりを一回のトレースで測定します。

測定結果はシステムのLCDディスプレイに表示されます。このディスプレイ上で測定方法や測定領域の設定を行い、トレースドライバーを操作します。ディスプレイはタッチパネルになっており、表示されるグラフの拡大・縮小は指先のピンチイン・ピンチアウトで操作することができます。確認されたデータは内蔵メモリ又は付属のUSBポートから外部メディアに記録でき、外部プリンタへの出力も可能です。

ZEISS RONDCOM

ZEISSの高精度形状検査器RONDCOMは円筒形状の材料の超精密測定器として機械加工から医療産業まで世界中で使われています。ブースで展示されているのは半導体産業での用途を想定したRONDCOM 60Aによる真円度測定。RONDCOM 60Aは100kg荷重までの材料について20nm(ナノメートル)の精度で形状を測定します。空気ベアリングを採用しているため、R、Z及び回転軸の精度が極めて高く、回転ステージの磨耗性はゼロ。高速自動アラインメントで高いスループットを実現しています。さらに測定精度を高めた RONDCOM 60 AS(60kg荷重で10nmの測定精度)も用意されています。

RONDCOMは材料形状の測定に当たって螺旋状に動くができるので、今回のブースでの展示のような材料の軸方向に沿って連続的に径が変化するような形状の部材にも対応し、その形状を計測、半径及び傾斜角を測定し真円度を計算します。実際に計測されているのは部材表面の座標データです。これを材料の全周にわたって連続的に測定することで、部材全体の形状を認識します。ブースの展示ではR軸上の位置(半径)を測定していますが、R/Z/θの三軸方向についての表面粗さの測定とも相互に切り替え可能です。

ZEISS ABIS II

ZEISS ABIS II は材料の表面品位検査装置です。主に自動車産業向けにボディパーツなどの凹みやひび割れ、ゆがみを検出します。

コントラストセンサーと合わせることで部材表面に付着した研磨材残りやキズも検出することができます。材料に触れずに高速に表面品位を測定できるため、各部罪の製造プロセスの各段階でABIS IIによる検査を導入することで、欠陥が発生する工程や経時変化をトレースすることができます。最終工程前に欠陥を発見できるのでコスト削減にメリットがある上、欠陥発生の工程を早期に発見して適切な対策を採ることができると期待されています。

インタビューの最後に…

1849年創業、総売上53億ユーロ(約7,000億円)のドイツの光学機器メーカーCarl Zeissの産業用計測器部門がZEISS Industrial Metrologyです。航空機や自動車をはじめプラスチック、機械加工、半導体、医療機器など幅広い産業向けに精密測定機を提供するこの会社は、およそ製造技術を有する会社全ての品質を保証する技術のコア企業と言えます。
ZEISSでは、「一年は365.2425日である」と言うそうです。精密さにかける同社の気持ちがとても伝わってきます。今後、3D印刷などの新しい製造技術が広まることを考えると、今回のZEISSのブース展示のような三次元形状の測定技術は一層のイノベーションが期待される分野でしょう。

IMTSとは


IMTS(International Manufacturing Technology Show) は、アメリカで最も大きい製造業の展示会です。IMTS 2016では過去最高の出展企業数(2,407)を誇り、登録数(115,612)も過去3番目に多く、McCormick Place複合施設にて1,370,256ft2(127,300m2)もの敷地面積に渡って開催されました。IMTSはアメリカ・シカゴにて偶数年に1回開催され、117カ国のバイヤーとセラー(売り手)が集います。

2018年情報
名称: IMTS – International Manufacturing Technology Show
スポンサー: AMT – The Association For Manufacturing Technology
日程: 2018年9月10-15日 | 2020年9月14-19日
場所: McCormick Place・2301 S Lake Shore Dr・シカゴ、イリノイ州、アメリカ
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