【IoT用語集】コグニティブコンピューティングとは?

【IoT用語集】コグニティブコンピューティングとは? – 記事

はじめに

コグニティブコンピューティングとは、人間の自然言語を認知・学習し、予測・判断するコンピューティングであり、ソリューションとして、IBMのWatsonがこれに当たります。

ディープラーニング機能付き人工知能=AIの一種ではありますが、IBMが提唱したコグニティブコンピューティングは、人口知能と目的や人間との関係性において異なるものとして区別され、IBMは現在でもWatsonがAIであるとは公言していません。

むしろExtended Intelligence (拡張知能)という言い方をしているようです。

コグニティブコンピューティングの用途

コグニティブコンピューティングを一気に世に知らしめたのが、2011年の米国クイズ番組Jeopardy!です。このクイズ番組でWatsonは、人間と対戦、勝利しました。「迅速かつ正確に自然言語での質問に答える」ことがWatsonの開発理念であり、クイズ番組ではまさにこの開発理念が実現されていることを印象付けました。

クイズの背景にある知識は、定型的でも構造化されたものではなく、かつそのデータ量は極めて大量です。このように非構造化・大量のデータの学習を基にして人間と自然言語で「対話」できることがコグニティブコンピューティングの特徴となっています。

こうした特徴から、用途としては人間の複雑な言語の理解を前提とした生産工程・サービス全般に用いられることとなります。その影響は、新たな産業革命並みのインパクトであるとも予測されています。

AIとの差異

①コグニティブコンピューティングの仕組み
コグニティブコンピューティングの本質は、ディープラーニング機能付きのAIです。ディープラーニングは、人間の脳神経に相当する関数であるパーセプトロン相互にメタデータを介して依存関係を持たせ、さらに判断を多層化することにより、誤差を学習のうえ排除する技術です。

Watsonも技術的にはディープラーニング機能付きのAIですので、コグニティブコンピューティングの機能とこれらのAIとに差異はありません。

②拡張知能と人工知能
それでもなお、コグニティブコンピューティングと人工知能にあえて違いを見るとすれば、コグニティブコンピューティングは、人間の経験を下敷きにした「拡張知能」である点に特徴があります。

しかし、これもディープラーニング機能付きAIをゼロから学習させるのではなく、DBを結び付けることや人間の裁量的判断を対話に組み込むなどの手法により人工知能と拡張知能の差異はなくなっていきます。

③コグニティブコンピューティングと人間の関係性
上記のように技術的には、AIと区別されにくいコグニティブコンピューティングですが、AIの違いは、人間との関係性の違いに明確に見ることができます。つまり、人間の代わりをするもの=AIであるとすれば、コグニティブコンピューティングは、人間を助けるものということができます。

Watsonが用いられ、真価を発揮する領域は、医療や、きわめて多数のデータ分析など自然言語の中でもとりわけ多数のビット数を消費し、判断があいまいな領域であるということができます。

とくにデータ量については、人間が処理できる量をはるかに超えた1000年にもわたる自然災害データであったり、あるいは、人間の検体データであったりします。人間が提示する問題に対して、あたかもブレーンのように機能します。

先にあげたクイズ番組の人間に対する勝利もバックグラウンドで参照されているデータ量は、高等教育を受けた人間が持っている記憶量を圧倒的に凌駕するものであり、スーパーコンピューターの処理スピードにより実現されたものです。2016年には、ついに患者の白血病を10分でWatsonが診断するに至り、「Watsonが命を救った」とされる例まで発表されています。

著名なソリューション

日本では、コンビニATMの応答システムや金融機関向けチャットボット、J-Waveのアシスタントといったソリューション例が著名です

コグニティブコンピューティングのクラウド化 身近になったWatson

現在Watsonは、クラウド化され、エンタープライズユーザーに開発用のAPIも含めて提供されています。サブスクリプションフィーだけで手が届くので非常に身近な存在になっています。オンプレミスでWatsonの導入を一から行うとすれば、スーパーコンピューターの導入さえ行う必要がありますが、クラウドサービスによりその必要はなくなっています。

アプリ開発プラットフォームのUnityと組み合わせ、VRゲームプログラミングを単純化し、AIを容易に組み込めるIBM Watson Unity SDKも登場したばかりです。今後のアプリ開発・プログラミングの世界の変革も予感させています。

まとめ

Watsonの登場、そしてとりわけそのクラウド化により、人間の過去の経験はよりフェアに多くの人に利用されることが可能になっています。

しかし、人間の集合知は、反倫理的な知見もその中に包含しています。GoogleやMicrosoftのAIガイドライン問題に見られた通り、暴力的・他害の恐れがある知見や差別などの反倫理的言論を適切に排除しながら利用できるようにすることがコグニティブコンピューティング開発の今後の課題となるでしょう。

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