【IoT用語集】VDIMとは?

【IoT用語集】VDIMとは? – 記事

はじめに

VDIMとは、Vehicle Dynamics Integrated Managementの略称でトヨタ自動車版の「横滑り防止装置」(Electric Stability Control=ESC)のことです。現在VDIMは、レクサスブランドの乗用車や、クラウン、クラウンマジェスタ、エスティマハイブリッドなどのトヨタ車で採用されています。VDIMは安全運転補助機能を提供する車載装置です。

VDIMと他のメーカーでの呼称

ESCは、一般名称ですが、各メーカーで独自の呼び方をしています。国産自動車メーカー各社での呼び方は下記のようになっています。

  • ASC、ASTC  三菱自動車
  • DSC (Dynamic Stability Control)  マツダ
  • ESP (Electronic Stability Program) スズキ
  • IESC  いすゞ自動車(2代目ガーラは除く)
  • VDC (Vehicle Dynamics Control)  日産、スバル
  • VDIM  トヨタ、レクサス
  • VSA (Vehicle Stability Assist) ホンダ
  • VSC (Vehicle Stability Control)  トヨタ(主にアドヴィックス製)、ダイハツ、レクサス、日野自動車、スバル(BRZおよびダイハツOEM車)、いすゞ自動車(2代目ガーラのみ)
  • VST  スズキ

日本だけでなく、欧州においても呼称の不統一が見られています。この呼び名の不統一は、不便でもあることから日本での名称統一に向けてブレーキメーカーであるアドヴィックス、ボッシュ(日本法人)、コンティネンタル(日本法人)の3社がESC普及委員会を結成、一般名称としてのESCを呼び名として使うことをリードしています。

VDIMの機能と構成要素

1.VDIMの機能
VDIMの基本機能は、車両が動作する際に安定を図ることです。とくにESCの場合、横滑りに関する安定性能に重点が置かれています。横滑り防止の機能は、どうやって実現されるのか、その仕組みを見ますと、いくつかの要素が組み合わされています。

2.VDIMの構成要素

  • ABS=Anti-Brake Rock System
  • TCS=Traction Control System

これにYaw Rate Sensorが組み合わされているのが本質的要素となっています。

技術的進化過程を、順を追って見ますと、
①ABSの登場が最も早く、これに摩擦の時に生じるトルクの急激な変動をおさえ、調整するTCSが併用され、滑りやすい路上での安定走行が実現されました。

②さらに、ステアリングの角度をモニタリングして調整するヨーレートセンサーと連動して旋回時でも車両を安定させることができるようになり、横滑りの防止が実現されました。

3.技術的改良
加えて、各輪の制御をそれぞれ独立して行うEBD=Electric Brake Force Distributionやヨーレートセンサーのような受動的機能だけでなく、能動的ステアリングコントロール機能が組み合わせられ統合された結果、駆動中の車両の横滑り防止性能を効果的に引き出せるようになっています。

近時のESCでは、電子制御プログラムの活用が実現されています。例えばトヨタのVDIMの特徴としては、車の動きを予測する、という機能が付いています。これは路面状況に応じて安定した車の動きがどうであるか、シミュレーションしたデータと、実際のモニタリングした車の動きのギャップを上記各装置で埋める仕組みを使っています。

コネクテッドカーの登場は、ESCの進化も呼び込むことができると考えられます。シミュレーションは、今までのところ過去データの集積・分析にかかるものですが、今後のコネクテッドカーはリアルタイムで自動車の動きをとらえ、各装置に働きかけるものとみられています。

VDIMの効果

VDIM=ESCが搭載された車両においては、横滑り防止の機能から事故の発生率が低減することが知られています。特に単独事故の発生率の低減効果は顕著で、

  • ヨーロッパ・ダイムラークライスラー調べ 30%の減少率
  • 日本・自動車事故対策機構調べ 44%の減少率

とのデータがあります。

現在、欧州では80%の普及率、米国・日本では60%の普及率が見られます。欧州に比べて普及が進まないとみられていた日本でも2012年からESCの搭載が段階的に義務化され、2018年2月からESCの搭載が新規型式認定される乗用車に義務付けられています。

VDIM=ECS普及上の問題点

日本で100%ECSを車両に搭載することになると各自動車メーカーは次のような課題に直面します。
1.搭載のためのコストと普及率
言うまでもないことですが、ECS搭載車は搭載されていない乗用車よりも製造コストが上がります。製造コストをすべて価格転嫁するとすれば、新車価格を跳ね上げることになります。新車が高いとなれば、市場は中古車に流れる動きが出ますが、これでは普及の足かせになります。

2.軽自動車の取り扱い
また、軽自動車は、省エネ性能に関しては大変優れていますが、ECS搭載により燃費や重量の関係で軽自動車の税金・価格・性能のメリットを滅却してしまう恐れがあります。たとえば、ECSを載せていないジムニーが2018年初頭に生産を開始、その後生産期間1か月で中止したなどという話題は、自動車メーカーのジレンマを端的に表しているものでした。

3.コストの低減と軽量化等の工夫
上記のように、メーカー消費者それぞれのジレンマがあるECSですが、安全性能を高め、自動運転車にも利用される技術であることは確かです。

かねてより、ベンツSシリーズを皮切りに欧州で普及が進み、トヨタにおいても高級車から搭載を開始したというように、重厚長大なECSから脱皮することが必要になってきています。軽量化・簡素化、あるいは後付けECSなど技術的模索が続きます。

まとめ

VDIM他、各社のECSは、自動車の安全性能を高める効果が高く、今後も確実な普及のための改良が重ねられることが見込まれます。

また、無線通信・AIなどのIT技術との組み合わせで、従来型VDIMの製造コストや価格を下げることも議論のただなかにあり、今後の動きに注目が集まります。