【IoT用語集】車両運動統合制御システム

IoT用語集】車両運動統合制御システム – 記事

はじめに

車両運動統合制御システムは、車両の走る・曲がる・止まるを支える技術で、究極的には車の動きから自動運転を可能にするためのシステムです。サスペンション・ステアリングコントロール・ブレーキなどを最適化し、駆動性能、旋回性能、および走行安定性能を向上させるシステムです。

ハンドル・車軸・タイヤ・サスペンションそれぞれ、近時は非常に高い技術力が用いられており、これらを結び付けて制御するこのシステムは、2000年代初頭に三菱自動車工業が初めて世に向けて発表した技術でとくに4WDの走行安定性能の向上に役立ってきています。

しかし、現在では、それにとどまらず、高度交通管制システム(ITS)、路車間通信・車車間通信との組み合わせで、自動運転を実現する技術として注目されています。

三菱自動車工業がシャーシに関する車両運動統合制御システムをリードする一方で、一歩踏み込んで車が安全運転について「認知判断」する車両運動統合制御システムも登場してきています。これは、AI技術の一つで、道路状況に合わせた判断を車がする、というものです。

ですので、以下では、シャーシの構成要素と、認知判断の構成要素とそれぞれ紹介します。

車両運動統合制御システム(シャーシ)の構成要素

シャーシの車両運動統合制御システムは、その機能から、

  1. 四輪荷重接地コントロール
  2. 四輪駆動制動力コントロール
  3. 四輪スリップコントロール

を要素として、下記のような技術を搭載しています。

  • AYC Active Yew Control ブレーキ・電動パワーステアリングを制御するシステムです。
  • ACD  Active Center Differential 駆動力の差を測定・平準化して、四輪間に駆動力をバランスよく配分するシステムです。
  • ASC Active Stability Control 車輪のスリップを防いで、路面の安全を確保するシステムです。
  • ABS Anti Brake lock System タイヤロックによるスリップを防止するシステムです。

主にこれらの4つの構成要素技術により、走行時の車の動きをコントロールすることができるので、悪路・雪道・雨の日といった悪条件の運転の安全を向上させることができます。

これにより事故の発生を抑えることが可能です。車両運動統合制御システムは、車両の事故防止技術の一部でもあります。

車両運動統合制御システム(認知・判断)の構成要素

車両が、道路状況を目で見て、判断して、安全走行を図るためのシステムです。制御コンピュータ(ECU)を中核的技術として以下のような構成要素から成ります。

さらに、これらのユニットは、インターネット通信と接続することが可能で(コネクテッドカー技術)、モニタリングポストから送信される道路情報を受信・命令ことにより、道路状況に適合した判断をすることも可能になっています。

  • センサー
  • レーダー
  • カメラ・画像処理ユニット
  • テレマティクスコントロールユニット
  • マップポジショニングユニット
  • セントラルゲートウェイユニット
  • 自動運転ECU
  • 車両制御コントロールユニット
  • ドライバーモニタリングユニット 等

車両運動制御統合システム市場・関係各社の動き

実車両に搭載したS-AWC=Super Auto Wheel Control Systemを公表したのは、三菱自動車工業で第39回東京モーターショーにおいてコンセプトカーであるConcept Xに搭載したものが最初のモデルです。

2013年-14年日本カーオブザイヤーアウトランダーPHEVがこの機能を搭載して、イノベーション賞を受賞しました。電子制御4WDは、今や走るコンピューターと呼ばれ、高度の安全制御技術を搭載しています。

S-AWCは三菱自動車工業の開発思想として一種の固有名詞となっていますが、S-AWCを構成する技術要素は各社がその特許を保有しています。

シャーシ側のシステムに圧倒的に強い三菱自動車工業をはじめ、アウディ、日立オートモーティブシステムズ、BOSCH、トヨタ自動車といったメーカーが車両運動制御統合システム関連特許を多く持っており、日独のメーカーが他の国のメーカーを一歩リードしています。

ここにGoogle、TESLAなどのシリコンバレー企業がコネクテッドカープラットフォームやコンセプトの分野で参入しているといった様相となっています。

「レベル3」カー登場と車両運動制御統合システム

2017年7月にアウディが発表した新型Audi A8は、自動運転モードが条件次第で可能になっており(自動運転レベル3)、ついに自動運転車の実用化に大きな一歩を踏み出しています。この車の中核技術が、自動運転ECUAIを利用したドライバーの状態をモニタリングするユニットといった車両運転制御統合システムのコンポーネントです。

道路における法的責任は、ドライバー個人に問うことが各国の道路交通法制の前提であるため自動運転の場合をどうするか、もしも法的フレームワークが成立すれば自動運転は技術的にはここまで実用化しているため一気に加速すると思われています。

先に述べた通り、日独のメーカーが多くの特許を保有・維持している分野ですので自動運転が加速することにより、日独市場に与える好影響も期待されます。

まとめ

車両運動統合制御システムは上記に見たように、自動運転の実現になくてはならない技術であるといえます。日本のメーカーが一歩先んじている分野であり、今後の動きに注目が集まります。

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