【IoT用語集】マイクロコントローラとは? – 記事
はじめに
マイクロコントローラとは、ハードウエアを制御するための集積回路のことです。マイコンと略されることが多くみられます。以下でも「マイコン」と表記します。
マイコンの基本的な機能は次の通りです。電気信号を入力装置から入力するとマイコンからの出力先のハードウエアの動きをコントロールすることができます。コントロールするのは、プログラムによるものです。
組み込みソフトウエア製品開発に欠かせない要素・家電等の製品に便利な制御用の部品とし、マイコンが用いられます。各マイコンメーカーは、チップとしてマイコンを提供するほか、開発環境も提供しています。全世界での市場規模は、2016年のデータで161億ドルであり、1兆円産業の一つです。米国・ヨーロッパ・アジアにシェア上位のメーカーが見られます。
マイコンをなぜ用いるのか
ハードウエアと抵抗・電源・スイッチをつなぐとスイッチオン・オフにより、ハードウエアの機能は正常に使うことができます。非常にシンプルな例として照明用電球を複数つなぐ例を考えると、例えば、明るさの調整やリレーといった機能を付加させようとするならば、マイコンにプログラムを組み込めば実現可能です。
もしも、マイコンがなかったとするとリレー機能や明るさの調整は他の部品をつけて行わなければなりません。このように、マイコンの役割は、簡単に機能付加・変更を行わせるためにあります。
用途・用法
ありとあらゆる家電製品・電子制御の工業製品全般に利用されています。マイコンの中には、組み込みソフトウエアが格納されます。このソフトウエアがハードウエアの制御を行う本質部分です。組み込みソフトウエアの標準言語はCであり、各社のマイコンは、Cでのプログラミング環境を提供しています。
マイコンの構成要素
CPU: 「脳」の役割をします。信号を解読し、実行させる命令を出します。8ビットマイコン、16ビットマイコン、32ビットマイコンなどとビット数でマイコンは分類されますが、CPUの演算能力をこのビット数で指示しています。それぞれ2の(ビット数)乗の計算を1度に行うことができます。
メモリ: 「脳」であるCPUで考えた命令を一時記憶しておく装置です。ビット数とメモリ容量でマイコンの性能が決まります。周辺回路 入力装置や出力装置とCPUをつなぎます。
マイコンの構成要素の詳細
〇 CPU
さらに、CPUの中は、下記の構成要素から成り立ちます。
- プログラムカウンタ CPUのどこの部分から命令を呼び出すか示します。
- 命令デコード回路 メモリから命令を取り出し、符号化してある命令を解読する回路です。
- 演算回路 名称の通り、演算する回路です。
- CPU内部レジスタ メモリ上の演算命令を一時的に記憶しています。ここで、演算を行います。
〇 メモリ
また、メモリは次のように2つの異なるメモリから構成されます。
- ROM=Read Only Memoryの略で、電源を切っても記憶が消えないメモリです。
- RAM=Random Access Memoryの略で、電源を切ると、記憶が失われます。
〇 周辺回路
- 電源回路 マイコンの動力となる電源を供給する回路です。電源電圧は、民生用のマイコンで、1.6~5.5Vとなっています。この間での電圧であれば、マイコンの動作が保証されることから、動作電源電圧と呼ばれます。
- 発振回路 電気信号を命令としてハードウエアに伝えるためには、クロック信号により伝えることになります。クロック信号を発信する回路が発信回路です。発信回路は、指揮者の役割をしている、と言われることも多くあります。
- リセット回路 リセット回路は安定した状態で、クロック信号と電源を供給する役目をします。急な電圧の上昇もここで安定化させ、コントロールすることになります。
マイコンの機能
- 音
血圧計や体温計のアラームなど、音を出す機能を担います。 - 表示
LEDのディスプレイに点灯・消灯させるなど、表示をさせる役割を担います。モーターや弁(バルブ)を調節する 洗濯機・冷蔵庫・エアコンなどの大型家電に使われます。また、リモコンの赤外線を生成し、赤外線の調整を行うこともできます。 - 電気信号の測定 温度や湿度の測定、その他センサーの出力を測定することができます。
- 通信 USBや、CAN/LINといった通信プロトコルに対応します。
- 演算 CPUがこの機能を担います。
各社のマイコン
世界の主なマイコンメーカーには下記のような会社があります。
ST Microelectronics Samsung Electronics NXP Semiconductor Texas Instruments Microchip Technology Infineon Technology Cypress Semiconductor ルネサステクノロジーなどとなります。
マイコンメーカーは、M&Aが繰り返されることもあり、今後も市場シェア動向は流動的と思われます。
まとめ
現在、マイコン市場においては、IoTデバイスの今後の開発・車載用のマイコンの需要とM&Aによる業界再編でマイコン各社の収益性は上がることが期待されています。
しかし、その一方で、Apple のMシリーズプロセッサに見られるように、プロセッサにマイコンの機能が吸収され、また、新型のCPUがマイコンの機能を取り込むなどの例が見られています。これらの例から、従来の形のマイコンがなくなることを予測する専門家もいます。需要拡大か、それとも発展的解消か、マイコンの将来が注目されています。