【IoT用語集】ジャイロセンサーとは?

IoT用語集】ジャイロセンサーとは? – 記事

はじめに

ジャイロセンサーとは、ある物体の、dpsで表わされる角加速度ないし角速度を検出して、物体の空間上の位置を把握する装置のことです。平たく言うと、「傾きと速度」を同時に測ることで、位置を割り出すものです。「こま」型の装置を、ドイツのヨハン・ボーベルネンガ―が1817年に発表したのが最初です。
こまの回転の傾きから、座標軸3軸(上下のヨー軸・左右のピッチ軸・前後のロール軸)の位置関係を計測する「回転式ジャイロセンサー」が原型ですが、現在では地球の自転の転向力(コリオリ力)を使って空間上の位置を計測する「振動型ジャイロセンサー」がもっとも市場に多く出回っています。一定の角度から、一定の力をかけて物体を振り子振動させるか、円周上で回転させるかすると、角速度は一定となるはずですが、これに傾きをつけると、角速度が変化します。その変化から位置情報を割り出すことが振動型ジャイロセンサーの原理です。

ジャイロセンサーの用途

・身近なジャイロセンサー
私たちの生活の中では、カメラの手ぶれ補正装置・スマートフォン・VRないしARゲーム機・スマートウォッチなどに利用されています。近年ではポケモンGoの対応機としてジャイロセンサー搭載機のスマートフォンが注目され、話題となりました。また、フィットネス分野の走る・泳ぐ・山を登るといった動きについて、歩数・スピード・標高等を計測する技術の核もジャイロセンサーです。
人間の「振る・傾ける」という単純な動きを検知できますので、ジャイロセンサーと、アプリケーソンソフトウェアの組み合わせで、ITサービスの可能性は無限ということができるでしょう。
さらに、IoTの発展の中で、Micro Electro Mechanical System(MEMS)をIoTデバイスに埋め込み、データを収集するサービスが注目されています。MEMSの一部として、天候・気象や生物の生育状況等を計測するため、ジャイロセンサーが用いられる例があり、今後も用途が広がるものとみられています。
加えて、ジャイロセンサーはMEMSに組み入れることにより、極限までダウンサイジングがすすんでいます。中には、センサーLSIの極小チップの中に、ジャイロセンサーを備えている例もあります。STマイクロニクスなどが製品化したものが最初のものですが、これほど小さいサイズでも、3軸から物体の位置を正確に測ることができます。これは限界までダウンサイジングされたジャイロセンサーの先端技術例ということができます。
・高精度・高性能のジャイロセンサー
ダウンサイジングが進むジャイロセンサーですが、精度の点ではサイズが小さい、生活に身近なものは、精度の点では劣ります。しかし、自動運転システム・自動航行システムなど、人の命にダイレクトに係わるシステムにも、ジャイロセンサーによる情報収集プロセスが多用されており、今後の技術改良に期待がかかります。こうした用途のジャイロセンサーは、すでに非常に精度が高いものですが、低コスト化・大量生産対応など、実用レベルでの課題も多くあります。

ジャイロセンサーの種類

機械式ジャイロセンサーは、①構造による分類②駆動方式による分類③検出方式により次のように分類されます。
構造による分類

  • 音叉型、ビーム型、リング型、プレート型
  • 駆動方式による分類
  • 静電引力、逆圧電効果、電磁力
  • 検出方式による分類
  • 静電容量型、圧電型、ピエゾ型、電磁型

たとえば、スマートフォンに利用されているジャイロセンサーは、①では音叉またはビーム型が、②では静電引力が用いられ、③では静電容量が用いられています。センサーに静電力を流し、一定に保たれている振動子と電極の間の静電容量が変わることで「傾いた」ことがわかるようになっています。
これに対して、自動航行用・オートパイロット用のジャイロセンサーは、振動を一定数の範囲に抑えやすいリング構造によるものが多く、検出方式も電磁波のわずかな変動も計測可能な周波数計測によるなど、精度向上が図られています。
上記の機械式のほか、量子式ジャイロセンサー・流体式ジャイロセンサーなど、機械式ジャイロセンサー以外の精度の高いジャイロセンサーも開発されています。

加速度センサーとの違い

ジャイロセンサーと似たような機能をもつセンサーに、加速度センサーがあります。加速度センサーは、1秒間に、どれだけ加速度が変化するかを検知することができます。これに対して、ジャイロセンサーは、1秒間にどれだけ角度が変化するかを検知することができます。検出する対象が違います。
また、加速度センサーは、ばねとおもりを一体にした時の重りの位置で速度の変化を計測することがその原理ですが、ジャイロセンサーは転向力を用いて回転する際の角速度を計測することがその原理です。このように、計測の原理も違います。
しかし、位置を図る用途が同じであることが多いことや、用いられるデバイスの種類が似通っている点から、混同されることが多々あります。また、位置情報の提供のためには、二つのセンサーを組み合わせて用いるのが効率的ですので、技術的にも近接している傾向にあります。

まとめ

以上にみるように、ジャイロセンサーは、私たちの生活に身近なITサービスに密接な関係のあるセンサー技術です。また、IoTの発展に合わせて進化を続ける技術でもあります。アプリケーションソフトウェアで計測の補助ないし表示を行うことにより、ヘルスケア・アミューズメント・教育・自然災害の予防・道路交通の円滑化、など応用分野の新サービスに今後も注目していきたいと思います。

成長し続けるモバイルデータ。5Gテクノロジーの概要、世界の動向、5Gが可能にした機能と機会を検証 世界のIoTに関するレポート公開中